2001.11.29


歴史的瞬間に立ち会うということ

大きなニュースが相次いでいます。九州から炭鉱が消えました。
長崎県外海町(そとめちょう)にある池島炭鉱が閉山しました。閉山の日、私は現場で中継を担当しました。担当が決まった時、デスクからこう言われました。「歴史的な現場で中継するんだぞ」。中継は雨の中だったこともあり、伝えることで精一杯でした。翌日、ある炭鉱マンの方から声をかけていただきました。「きのうは雨で大変やったね」。私の中継をご覧になったのでしょうか。炭鉱で働いた人がわざわざ私のところに来られて声をかけてくださったということ、それは誇りをもってこれまで仕事をされていた皆さんが自分達の仕事が終わりを告げたことをどう報道されているのか注目していたということがわかりました。私が炭鉱で働いていたわけではありませんから、第三者として伝えるのは当然です。しかし、この方のひとことで、「歴史的瞬間」の現場にいたんだということを実感し始めました。そこにいなければ炭鉱マンから声をかけられることもないんです。 ただ、「歴史的瞬間」が過ぎても、まだまだ炭鉱マンの再就職問題など課題はたくさんあります。私達はそれを取材していきます。そしてそれが終わった時、「歴史歴瞬間を伝えた」という実感が大きくなるのではと思い始めています。