軽米
タイトル

地域営農システム推進チームを編成
小軽米小の統合校舎建設に着手


 平成9年度の町政の進め方を審議する町議会3月定例会が3月10日から24日までの15日間開かれました。議会初日、平澄芳町長は所信を表明し「集落ぐるみの農業を進めるための農林課内に『地域営農システム推進チーム』を新設するほか、小軽米小学校の統合校舎建設への着手など重要課題に取り組んでいきます」と述べました。施政方針の概要をお知らせします。

 21世紀を間近に控えた今日、わが国を取りまく内外の社会情勢は変貌著しく、政治、行政経済、社会のしくみ全般にわたる再構築が求められています。また、21世紀は環境と食料に対する価値観が高まる世紀だとの声が高まりつつある中で、豊かな緑と水と大気に恵まれた農山村は、国民生活に不可欠な食料の安定供給はもとより、水資源の涵養、国土・自然環境の保全などに大きな役割を果たしている一方、農山村に対する「豊かさ」「快適さ」「美しさ」を求める意識の高まりが見られます。
 しかしながら、農山村の置かれている今日の現状は、農林業の伸び悩みに加え、社会経済情勢の変化によって、過疎化、小子・高齢化が進行し、人工の自然減等により、地域社会としての活力が低下し、農山村はその基盤を大きく揺るがされています。
 このような社会経済の情勢に的確に対処し、豊かで安心できる地域社会を築き上げていくためには、地域の総合的な行政主体である地方公共団体が果たすべき役割は、ますます大きくなるものと認識します。
 私は昨年の6月、町長に就任し、これまでの約9ヶ月間、町政を担当して、軽米は他に誇れるすばらしい財産を持っている街であると感じさせられました。
 私の感じました本町における貴重な財産と申しますと、その一つは、自然です。本町の面積の約八割を占めております山林原野は景観に富んだ美しい山々と美しい自然が保たれています。
 次は、決して派手さはないものの、厳しい風土の中で培われてきた、実直で勤勉な町民の方々により、着実な積み重ねがなされ、人情豊かな地域社会が形成されていることです。真の豊かさが問われはじめた現代社会の中で、自然と人、あるいは人と人との有機的なつながりの上に成り立つ本町の特性は、非常にすばらしい財産です。
 先人の方々の不屈な精神と汗の結晶と努力により、県北地方屈指の美しい農地と豊かな実りをもたらす技術が大いなる財産と感じます。
 さらに、軽米の置かれている条件を見ますと、二十万都市の八戸市、鉄道、高速自動車道、そして平成13年度に開業が予定されています東北新幹線には、いずれも30分圏内に位置しているという好条件も見逃すことのできない財産といえます。
 私は、このように自然・農地・チャレンジ精神と技術を身につけた町民が多数いるこの町を誇りとするとともに、大いなる発展の可能性が期待される町であると自負します。そして、この可能性に挑戦していくことが私に化せられた責務と思っています。どうか、町民の皆様も、この大いなる可能性に、自信と夢を持ってチャレンジしていきたいと思います。
 私は、町づくりの基本は、町民一人一人の町づくりの夢を大切に育てていくことにあると思います。その夢を育てるための必要とする支援策については、積極的に取り組み考えです。
 このことにより、必ずや、総合発展計画で掲げられている、軽米町の目指すべき将来の姿「町のすべての人々が、日々、明るく、生きがいを持って暮らし、長く住みたいと感じる町」の実現、そして、私の持論である「若者が帰ってきたいと思えるような、魅力あふれるふるさとづくり」が実現できるものと確信します。
 私は、町長就任にあたり、町民の皆さんに「魅力あふれるふるさと」づくりを進めるに当たっての基本姿勢を六点掲げました。
 第一点は、「公平・公正・清潔」な町政。
 第二点は、教育振興。
 第三点は、保険、医療、福祉の充実。
 第四点は、産業・観光振興
 第五点は、生活基盤の整備。
 第六点は、軽米のイメージアップです。

特定課題の懇談会を開催
 これらの基本姿勢を踏まえつつ9年度は、特にも次の施策に重点を置きながら、町政全般にわたる課題解決に当たります。
 その第一点は、町民に開かれた行政を心がけたいということです。
 第二点目は、行政改革の推進です。
 第三点目は、基幹産業である農業の振興。
 第四点目は、町民から要望の多い道路整備を含めた基盤整備です。
 第五点目は、教育・社会体育施設の整備。
 第六点目は、福祉の充実
 第七点目として、国際交流の推進です。

行政改革で振興開発課を廃止
 町民に開かれた行政については、町長就任以来、直ちに町民の生の声をお聞きしたいとの考えから、「町長への手紙」と「地域懇談会」を企画し実施してきました。本年度も、「町長への手紙」と「地域懇談会」は継続しますが、これらは町政全般にわたってのものであり、今年度は、さらに課題を特定しての「特定課題懇談会」を計画したいと考えます。
 行政改革については国、県でも、それぞれ行政改革に取り組んでいる最中です。
 町でも、時代の変化に対応した簡素で効率的な行政を実現していくために、行政改革を進めていく必要があります。昨年、行政改革推進委員会よりの答申を受け、平成9年度を初年度とする今後5年間の年度別実施計画を定め、実施します。
 初年度となる9年度は、本庁に町長部局、他部局を含めて17の課が設置されていますが、振興開発課を廃止し、16の課とします。
 保育施設については、長倉保育園を軽米保育園に、小玉川保育園は、小軽米保育園に統合しました。長倉、小玉川地区の皆様には、長年にわたって保育園を支援していただきましたことに、心から感謝を申し上げます。
 農業振興については、農業後継者不足、農業従事者の高齢化が進む中にあって、有料農地の維持など総合的に進めていくことが必要です。このためには、集落ぐるみの農業を推進していくことが重要と考えています。
 今年度から、推進のための町単独事業として、「地域営農システム推進事業」を新設し、集落の現状を調査把握し、集落にあった営農の形態や各種事業の展開を図ります。
 道路整備を含めた基盤整備については、町民の要望が大変強いことから、改良の継続は進める一方、新規路線着手をぜひ図りたいと考え、9年度は5路線の町道を新規整備路線として着手します。

中国山西省との国際交流を推進
 教育・社会体育施設の整備については増子内小学校・小軽米小学校の統合校舎建設に着手し、ハートフル・スポーツランドについては、多目的広場とパークゴルフ場の工事を進め、9年度で第一期工事分が完成します。
 福祉の充実については、高齢化の進む中、体の不自由な方々、一人暮らしの方々の高齢者対策は当町の重要課題となっております。新規事業の介護者リフレッシュショートステイ事業など各種事業を積極的に取り組むとともに、ヘルパーの増員なども図りながら在宅福祉の充実に努めます。また、障害者にやさしい公共施設とするための施策も展開します。
 国際交流については9年度で、中国山西省から二人の女性研修生を当町で受け入れをし、中国山西省との友好と国際交流を推進します。
 次に9年度における主な施策について申し上げます。
 最初に、私の基本姿勢の一つでございます軽米のイメージアップについては、昨年の12月に、軽米のイメージアップを図っていくために、インターネットのホームページを開設し、全国に軽米の情報を発信したところです。
 9年度では、さらに軽米のすばらしさを全国のみなさんに知ってもらうために、ホームページの内容に工夫を加えながら充実を図る一方、都市の方々と直接交信ができるシステムを新たに加え、都市の皆さんとの交流と軽米に対するご意見などをいただけるように進めます。
 次に福祉行政の児童福祉については、近年の社会状況の変化を背景に出生率は低下を続け、児童が著しく減少し、平成9年度の入園予定者は253人に落ち込み、充足率59.5%となっています。
 小子化の進行は、集団の中で育って団体行動など協調性を育む機会が減少し、社会性が育ちにくくなるなど、子供自身の健やかな成長への影響が懸念されることから、長倉、小玉保育園の常設保育園への統合について、平成7年2月以降、地区の方々と協議を重ねてきました。地区の方々より、入園児童数の現状から統合もやむを得ないとのご理解をいただき、本年4月から、それぞれ軽米、小軽米保育園に通園いただくことになりました。本定例会に長倉保育園と小玉川保育園の廃止条例案を提案します。また、行政改革推進委員会の答申を踏まえての、米田保育園の常設保育園との統合については、本年度から地区の方々と懇談会を開催し、平成10年4月からの統合を目標に取り組みます。

短期入所の充実で介護者を支援
 老人福祉対策については、本年1月1日現在の、65歳以上の高齢人口の割合が21.8%で、前年比0.6ポイント増加しています。今後ますます高齢化が進むことが予想されることから、在宅福祉充実を図るための緊急通用システムを平成9年度かも、20台導入するとともに、寝たきり老人等日常生活用具給付事業、老人及び障害者等にやさしい住まいづくり推進事業など、既存の事業の拡大を図り、在宅介護を支援します。
 平成9年度の新規事業としては、デイサービスD型弾力化事業を、デイサービスD型事業に格上げして実施するとともに、介護者リフレッシュショートステイ事業を実施します。この事業はショートステイ事業の利用促進と寝たきりや重度の痴ほう症の高齢者を、自宅で介護する家族の経済的、精神的負担を軽減するため、特別擁護老人ホーム「いちい荘」と身体障害者療護施設「太陽荘」のショートステイを、年間7日間、所得税課税世帯では3日間、無料で利用いただくものです。
 福祉施設の整備については、老人福祉センターを車椅子で利用されます方々の不便を、是非解消したいと考え、トイレの改修と玄関などの段差の解消を実施します。
 出稼ぎ対策については、関係機関との連絡を密にし就労経路の正常化を図るとともに、就労者の基本検診に併せ、9年度から就労前健康診断に助成し、健康管理の徹底を図ります。また、就労事業所訪問、互助会への加入により、出稼ぎ者の安全就労の確保に努めます。
 農林関係については、農業を基幹産業と位置づけている当町としては、地域の特性を生かし、稲作を中心に畜産や野菜、花卉など園芸部門や葉たばこ・ホップなどの工芸作物との組み合せによる「複合経営」の一層の充実と、適地適作による安定的で高収益な農業経営を確立していくことが必要と考えています。
 現在農業の置かれている状況を考えますと、農業者の高齢化、後継者不足が進む中で、農地の荒廃に対する歯止め対策など集落ぐるみで、創意工夫をこらした農業再編を進めていくことが必要です。このため、平成9年度を初年度に、農林課内に地域営農システム推進チームを編成し、集落内の相談会を活発化し、地域ぐるみ農業の展開に努めます。
 新生産調整対策については、農家の意向を尊重しながら、集落ぐるみの転作推進と高収益作物の導入により定着化を図り、関係団体一体となって目標達成に努めます。
 水稲については、食味や耐冷性に優れている「かけはし」の、いもち病予防経費の一部を、継続助成することにより、防除技術の定着化を図り、「かけはし」の安定生産と面積拡大を推進します。

晴高地区に水稲育苗施設
 「地域農業基盤確立農業構造改善事業」では100ヘクタール規模の水稲育苗施設を晴高地区に整備し、健苗生産供給と省力化に努めます。
 園芸振興については、広大な畑地と立地条件を生かし、激化する産地間競争に勝てる野菜産地づくりを推進します。
 特に、雨よけホウレンソウは「品質日本一」としての銘柄も確立し、中央市場でも評価を得ており、今後も簡易ビニールハウスや一時貯蔵庫の導入により、面積拡大と集荷作業の効率化を進めます。
 雨よけホウレンソウに次ぐ推進作物としてのキャベツについては、町で育苗費として1本1円の助成を行っていますが、助成を継続する一方、販売価格の低落時における一定額の価格差補給金の資金造成を平成8年度に引き続き行い、キャベツの安定生産と、面積拡大に努めます。
 工芸作物の葉たばこについては、平成9年度の葉たばこ作付け面積が、前年より5.4ヘクタール増の221ヘクタールとなる見込であり、コンパクト乾燥施設やパイプハウスなどの導入助成を行い、乾燥体系の機械化による作業の省力化を図り、より一層の生産拡大に努めます。
 畜産振興については、国庫補助事業で実施してきた優良種雄牛の精液確保や、受精卵移植のための助成は、平成7年度で打ち切られましたが、優れた子牛の生産を図り、軽米牛の産地銘柄化を推進していくためには、優良種雄牛の精液確保や、受精卵移植が欠かせないことから、町単独事業により助成を行います。
 また、米田・八木沢・太平牧野については、8.6ヘクタールの草地改良整備を図り、夏山冬里方式による、コスト低減と足腰の強い黒毛和種繁殖素牛の生産に努めます。
 なお、本年4月には、岩手県農業試験場県北分場が、養蚕試験場一戸分場と園芸試験場高冷地開発センターを統合し、山内地区に新築統合移転となります。
 これまでは、仮称として県北農業技術センターでしたが、岩手県農業研究センター県北農業研究所と正式決定されました。当センターは、農業研究の拠点施設として、地域農業課題解決に直結する技術開発と、実証試験を行うもので、その役割に対し大いに期待します。
 農業生産基盤の整備については、担い手農家層を中心とした高度な営農生産体制を整備し、地域農業の確立を図るため、生産基盤整備を促進します。優良圃場の確保を図るため、高家地区13.5ヘクタールと下栃沢地区4.5ヘクタールに区画整理事業を導入し、高度な営農展開を推進します。

農業集落排水の整備計画を策定
 生産の合理化をはかるための農道網の整備については、駒木地区をはじめ山内地区、沼地区、向田地区、 の下地区の五地区を継続設備し、新規に太田向地区を着手する予定です。 県営事業では、従来より整備を進めています軽米・九戸地区広域農道と晴山地区農免農道、内城地区ふるさと農道の三路線が継続整備され、うち内城地区ふるさと農道が完成の運びとなる予定です。
 雪谷川地区の県営水環境整備事業は、親水ゾーンの整備を引き続き実施することになっており、フォリストパークと併せ、町民の保養休憩機能の向上に努めます。
 農村環境保全対策については、近年河川等の汚染が深刻化しており、農村の持つ優れた環境を維持していく必要があります。このため9年度では、農業集落排水事業の整備計画策定を進め、農村環境保全に努めます。
 八戸平総合農地開発事業については、昨年は懸案でありました事業の計画変更も確定し、一部では送水管の敷設工事が着工されており、ダム本体工事の着工など、いよいよ基幹水利施設整備が進められることとなり、今後は関連事業導入に向けての取り組みが急がれているところであり、当町でも農家の意向を十分把握しながら取り組みます。
 畑地かんがい実証展示圃については、9年度も引き続き農作物の品質向上、増収効果、高収益作物導入の営農計画検討など、農家への普及方法などについて研究します。なお、当町の八戸平原関連工事は、送水管工事とダムの付け替え道路工事が計画されています。
 林業関係については、地域森林の保全と育成と推進し、林業の振興を図るため、森林保育施業として、下狩り、除間伐などを流域森林総合整備事業で206ヘクタール実施予定であり、 また、優良材の生産を図るため、アカマツ良質材生産促進対策事業や枝打促進対策事業を導入し、森林の適正施業管理を推進します。また、これからの森林施業や木材の搬出を容易にするための林道網の整備については、林道靄岳線ほか二路線と県営事業では折爪岳線と宮沢線の整備に努めます。
 森林環境保全対策については、森林の持つ多面的な機能を十分に発揮し、快適で安全に自然を享受できる森林空間の整備を図るため、豊かな森林づくり事業で折爪地区を整備する予定で、季節のミレットパークと併せ、豊かな自然を利用し、都市との交流を図りながら地域活性化に努めます。

「新そばまつり」を実施
 新年度より新しくスタートする、担い手育成型林業構造改善事業では、、軽米・九戸両町村でのブロック指定を受け、林道網整備、林業生産機械、木材加工施設等の整備を平成11年度まで実施します。
 特用林産物生産振興については、日本一の生産量を誇る木炭や品質において優秀な評価を得ている、しいたけ生産対策として、イベント開催や県補助事業などを導入し振興対策に努めます。
 商工観光については、新年度に軽米バイパスの開通に伴う交通量調査、消費動向調査など商工会と連携を取りながら進めます。また、商工業者の皆さんへのご融資額を、これまでより1,500万円増やすための、中小企業融資基金の造成を図り、 小口融資制度の充実に努めます。
 観光振興については、週40時間の労働時間の短縮に伴い、余暇時間の増大、あるいは健康志向からも観光レクリエーションに関心が高まっています。当町でも、雪谷川ダム周辺の整備など観光施設の整備も進み、年々観光客も増え、昨年は19万9000人の入り込みとなっております。
 9年度は、各イベントの盛り上げを図るための催事歳用テントを購入し、新たに、ミレットパークで「新そばまつり」の実施します。また、町の観光と物産のPRのため八戸市での「キャンペーン」の実施や県が新たに進めている、「岩手まるごとキャンペーン推進事業」「新しい旅推進事業」に積極的に取り組みます。

チューリップ園を10万本に整備
 フォリストパークの一つのシンボルであるチューリップ園については、チューリップをこれまでの8万本から10万本に増やし、また、チューリップが咲いた後の花壇についても、夏から秋に咲く花を増やして園地の充実を図り、今後さらに観光客の誘致促進に努めます。
 町道の整備については、平成5年度から継続施行しています県代行事業の町道瀬月内橋・下尾田線の改築は、用地習得・家屋移転補償などが進められており、工事についても埋蔵文化財の試掘調査の実証とその結果により、進めます。
 板橋・米田・岡堀と勘丁線の改築は引き続き改良工事を予定しております。また、平成7年度から継続してきた駒木・長倉・水吉線は、平成9年度で完了します。
 町単独事業については、屋敷・青沢・新畑線小玉川工区、高清水・上下野場線高清水工区、梨ノ木沢線の3ルートを継続して実施します。新規事業として、上晴山線、沢里・塚内橋線、山内駒木線蓮台野橋・駒木線向川原工区、向川原原軽米バイパス線の5ルートの改築を計画しています。
 さらに、災害発生の恐れがあり、課題となっていました、下晴山・貝喰線の竹谷袋から山内駒木までの区間については、ルート切替なども視野に入れた調査を行います。また、町単独の新規事業として、私道などの整備助成事業をスタートさせます。中小河川の改築は、下晴山地区と山内地区の二小河川を整備する予定です。

合併浄化槽の設置に補助
 町民の生活環境整備で要望の強かった下水道整備については、9年度は特定環境保全公共下水道事業の第一期整備計画50ヘクタールの認可申請を行い、認可を受けて管渠の実施設計業務委託を進める予定です。
 国民健康保険事業については、当町の国民健康保険事業は、被保険者の皆様の国保に対するご理解とご協力により、現在のところ、その運営も安定的に推移しています。しかし、国保を取りまく環境は依然として厳しいものがあります。
 町では、高齢化が進む中での医療費の増大や老健施設への入所に係る施設療養費の増加などにより、今後の財政運営は厳しいくなるものと予想されるところですが、健康づくり事業の積極的な展開を図り、併せて医療費の低減化にも努めながら、健全な国保の運営に当たります。
 また、国では、医療保険改革の中での平成9年度の取り組みとして、外来薬剤に係る一部負担金の導入や、 老人保険の低額負担の改正等が予定され、今国会でその法律案が審議されるやに聞いており、さらに、平成9年4月からは、診療報酬の引き上げや薬価基準の引き下げなどがあり、これら、国の動向や医療費の変動などを見極めながら、国保事業の健全運営に努めます。
 環境衛生については、快適な生活と美しい環境は、町民みんなの願いです。清潔で住みよい町づくりのために、今後も町民皆様のご協力をいただきながら、ゴミの減量化や資源化を図っていかなければならないと考えています。近年、河川の水質汚濁が社会問題となっていますが、これは、一般家庭等から排出される生活廃水による汚れが大きな原因であるといわれています。
 町では、下水道未整備地域においても、快適な生活環境の確保と生活廃水による河川の水質保全を図るため、国や県の補助を受けながら、平成9年度から個人が新規に設置する合併処理浄化槽に対し、その設置費用の一部を補助する合併処理浄化曹設置整備事業を進めます。
 保健事業については、平成4年に保健医療福祉の連携を掲げ、県立軽米病院の隣に健康ふれあいセンターを建設し、事業を開始してすでに5年になろうとしています。その間、県立軽米病院のご指導とご協力をいただきながら保健福祉事業の積極的な展開を図ってきました。
 町民の健康は何よりも大事であり、町民の健康こそは町の発展の原動力であるという基本的な考えに立って、今後も各種検診をはじめ健康教育、健康相談を積極的に実施し、町民の健康づくりに努めます。特に、町民個人個人の状況に応じた指導を行う健康ライフ形成促進事業などを積極的に実施し、心の健康づくり事業にも取り組みます。
 これまで、県で実施していた母子保健は、9年度から市町村へ移管されたことに伴い、今後は平成13年を目標にした母子保健計画「いきいき すこやかプラン」をもとに、軽米病院のご協力をいただきながら、母子保健事業の充実に努めます。
 食生活改善事業では、9年度からこれまでの食生活改善事業のほかに、ねたきり者などの家庭を訪問しての栄養指導も実施し、ねたきり者などを含めた食生活改善事業の充実に努めます。
 水道事業については、平成7年度より進めている上下水道事業の施設整備については、平成9年度も引き続き導水管施設の延長と配水管の敷設換え、浄水場内の機械と電気計装設備などを実施する計画です。
 山内簡易水道については、水道水の需要増に対応して、 既設配水地の防水工事と老朽配水管の敷設替えを行います。 国県道、町道改良舗装工事に伴う配水管布設替え工事については、向高家地区ほか四路線を実施する予定です。なお、 新設浄水場と一体的に建設を進めていた管理棟が完成したことに伴い、平成9年度には、現在の水道事業所を萩田地区に移転して水道業務を行います。

企業誘致と住宅団地整備に努力
 消防関係については、消防の機械施設を順次計画に沿って整備を進めますが、9年度では、消防ポンプ自動車、小型動力ポンプ付き積載車を各1台。防火水槽を2基。消火栓を2基。コミュニティー消防センターを一棟を整備します。また、昨年から3年計画により防災用資器材の整備を進めており、2年目の9年度では、震災などへの備えのために、毛布、簡易トイレなどの防災用資器材2セットの導入を進めます。
 次に、今の時点では、まだ、まったくの白紙で、具体的なことは何もお話はできませんが、将来に向かって、私が取り組んでみたいと思っているいくつかについて申し上げます。
 その一つは、企業誘致です。現在の経済情勢からいって、決して容易ではないと思っていますが、若者が就労できるような企業誘致に努力します。そのためには、工業団地などの受け入れ条件整備も努力していくことが必要と考えています。
 次には、住宅団地の整備です。
 若者の定住、人口の増加策として、また、企業誘致の条件整備の一環などとして、宅地分場も視野に入れた団地整備の取り組みも必要と考えています。
 もう一つは、町中心部の方向性についてです。8年度と9年度の2ヶ年計画で、町中心部についての「町づくり拠点施設等検討調査」を行いますが、検討調査の報告を得て、総合的に町中心部の方向性を探りたいと考えています。
 最後に9年度予算編成についての基本的な考え方を申しあげます。
 平成9年度の国の予算は、財政構造改革に取り組むことが緊急の課題となっている財政事情から、平成9年度を財政構造改革元年と位置づけ、歳出抑制基調予算となり、一般会計の一般歳出ベースで9年ぶりの1%台の伸びとなっています。
 また、地方財政計画においても、縮小方向には転じたものの、引き続き大幅な財源不足の状況にあるほか、多額の借入金残高を抱える極めて厳しい状況にあり、歳出を極力抑制し、借入金への依存度の引き下げを図るなど、財政の健全化を推進していくことが急務であることから、0.9%のわずかな伸びであり、歳出抑制基調となっています。
 このように国・地方とも極めて厳しい状況にあります。まして自主財源に乏しく、財源の大半を国・県に依存している財政基盤の弱い本町にとっては、なおさらです。
 しかしながら、高齢化社会の総合的福祉施策、生活関連基盤整備や教育施設整備などの現下の重要な政策課題に緊急に対処しなければならないことから、昨年12月に策定した軽米町行政改革大綱、「来るべき地方分権の時代にふさわしい機動的かつ効率的な行政システムの確立」を基にした行政改革の積極的な推進とともに、限られた財源の重点的配分と経費支出の効率化に徹することにより、経費全般について徹底した節減合理化を推進し、財政の健全化と住民福祉の向上に努めることを基本として予算編成にあたりました。
 その結果、学校建築などの大型事業に取り組むこととし、 一般会計予算総額で66億9,400万円となり、8.5%増の大型予算となりました。しかしながら、厳しい財政状況から、財政調整基金の取り崩し1億5,000万円を計上し、財源調整をしたところです。