メモリアル花火

2007年8月

 夏祭りに娘達が帰ってこなくなってから2年。
御神輿を見るのも踊りを見るのも楽しみだったけれどそれもなくなった。
しかしかわりにお兄ちゃんが龍神踊りに参加するようになった。
小さいときから参加していた龍神だけれど街もシャッター街になり人出もたりなくなった。吹き流しも出店も少ない。
暑さだけは最高潮で倒れなければいいなあ・・と思うほどだ。
パパとママはその暑さの中に入っていくこともできず冷房の効いたおうちでテレビのライブを見ていた。
お兄ちゃんが映し出され思わずテレビの前に張り付いた。
御神輿の前々日、花火があった。
この花火も一頃に比べると随分質素になった。
地方都市の景気はまだまだ回復せずにスポンサーも少ないのだろう。

数年前からメモリアル花火のコーナーができた。
個人が何かの記念とかで打ち上げる花火だ。
企業や商店街共同の協賛とは違うので花火自体も寂しいけれど利用した方達にはステキな思い出として残るのだろう。

その一つに昨年なくなった娘達のお友達への花火があった。
そうか・・もう一年が経つんだなあ・・・
帰省の度に娘達はお墓参りを欠かさない。
彼女たちにとっては初めての人とのお別れだった。
「花火があがったよ・・・」
お姉ちゃんにメールした。

「見たかったなあ・・」
それだけの返事。

いろんな事がある人生、簡単に忘れられるもんじゃない。