87才、一人旅

2007年4月

 藤沢じいちゃんが一人で戦友会に行くと言い始めた。ばあちゃんがついていってあげれば何の心配もないのに「私はいかない!!」と譲ってくれない。
耳も遠いし歩く速度もゆっくり、ぼけてはいないけれど忘れ物も度々。
でも残り少ない(?)人生。やりたいことはやらせてあげたい・・・
そんなこんなが半月続いて次女に世話を頼むことにした。
優しい次女は精一杯おじいちゃんのエスコートを務め、夕食は長女と3人で食べ、東京のど真ん中を『両手に孫』、で歩いたらしい。
明日死んでも後悔はない!!とまで言わしめた孫達は凄いと思ったけれど「イヤ、イヤ、ここで死なれたら私たちが大変だからちゃんとおうちの帰ってね。」とお願いしたそうだ。
おじいちゃんのおともであちこち一緒に歩いてくれた次女や長女には本当に感謝だ。
しかし・・・あまりにも上手なサポートだったためかおじいちゃんはへんな自信
を持ってしまったそうだ。
「まだまだ一人でも大丈夫・・・、来年もくるからよろしくね。」
どうぞどうぞ、来年までいや、再来年も元気で旅行して下さい。

出迎えにいって改札口を出てきたじいちゃんはなんだかいつもより小さく見えた。