夜汽車

2007年2月

 眠れない夜、お風呂から出た後、時々ママは娘達の部屋に入る。
そこからは新幹線のホームが見える。
まだ明かりがついている時間、そうではない時。
娘達を思うとき、若かりし頃を懐かしむとき。

ママは東京の街が大好き!!
お買い物はもちろんだけれどあの雑踏の中のひとりぼっちが最高に心地いい。
学生のころも勤めていた時も好きだったけれどお金もなかったし寂しくて押したおされそうになったけれど今は違う。
年に数回しか行くことがない場所だからそう思えるのだろう。
子供達がいるからそう・・・

ママの実家は鉄道が通っていない町だ。
うそかほんとかは知らないけれど昔、むかーし鉄道を引こうと話がでたときに鶏が卵を産まなくなるから、煙で死んでしまうからと町民が反対したそうだ。
時代錯誤みたいな話だけれどママは小さいときから何度も繰り返しその話を聞いてきた。鉄道さえ通っていれば高校だって家から通えただろうし大学だって近くに行かせられた・・藤沢ばあちゃんお決まりの愚痴である。
だから余計汽車に思いこみがあるのかもしれない。
高校の下宿で夜中に聞こえてくる踏切の音、すごーく好きだった。
山手線も東西線も好きだった。
ママにも若いときがあったんだね。
今は新幹線のホームをみながら、お散歩で列車や新幹線が走るのを見ながら遠い、遠い東京に、娘達に思いを馳せる。