僕ちゃん

2004年9月

 この街では1年に一度里親捜しのイベントがある。
保健所に連れてこられた子犬に里親を探すのだ。
いつからあるのかはわからないけれどママの弟のおうちのわんこもそこで頂いてきた。イベントの1ヶ月前くらいから獣医さん達が1.2頭ずつ預かり病気がないか検査をしたり問題行動がないかをみたりして大丈夫のわんちゃんが新しい飼い主を見つける。
保健所に連れてこられたほとんどのわんちゃんがかわいそうな運命にあるのだけれど数頭のわんちゃんは幸せに暮らすことができる。
アメリカに行ったときも思ったけれど日本でももっともっとこんなわんちゃんが増えてくれればいいなあと思っていた。
ぷりんがお世話になっている病院にも1匹のわんちゃんがやってきた。
名前をつけられないのでみんなで「ちびちゃん」とか「僕ちゃん」とか呼んでいる。
パピーの教室にも参加して随分社会性もでてきたわんちゃんだ。
最初に見たときはちょこちょこと静かだったけれど数日のうちにとても元気になって診察室から待合室からばたばた走り回りいたずらしている。
この病院は預かったわんちゃんもなるべくケージの外で遊ばせてくれる。りゅう君も走り回っているのだろうか?
ちょうど患者さんがいないときにママが顔を出した。
僕ちゃんが新聞紙をビリビリして遊んでいた。
りゅう君と遊ばせてみようか?
M先生と院長先生と2匹を観察した。りゅう君はうなってばかりで遊べなかった。
僕ちゃんのD君に怖さを教えてもらっているかいやがるりゅう君にしつこく迫ることもなかった。2匹を見ていてやっぱりりゅう君は臆病者なんだと思った。
いつもぷりんやママがいるから強気に出ているけれど怖くて威嚇しているようにしか見えなかった。結局最後まで遊ぶことも出来ず新しい飼い主さんのところに行ってしまった。
なんと里親は病院に近いところらしい。今度あったら一緒に遊べるかなあ?
ポチの会に入って色々な活動に参加し、いろんな人やワンちゃん達にふれあってママは随分変わった。
自分のわんちゃんだけでなくすべてのワンちゃん、猫ちゃん、人間が幸せになれればいい、そんな風に素直に思える。
僕ちゃん新しいおうちはどうですか?