最後にしてあげたこと

2013年7月

 急に真夏のような日々。
今日も30度を越す予報だ。
今年も我が家はカサブランカの香りでいっぱいになった。
15年間続けてこれたのはこれだけ。
一号のためにしてあげられるのもこれだけ。

今年は一号の写真の前と藤沢じいちゃんの写真の前。

最後に一号にしてあげたのはずっとだっこしていること。
桃を食べさせたこと。
何も食べなくなった一号がおいしそうに食べた。
亡くなったとき、桃を食べさせたのが悪かったのかとすごく後悔したけれど、今になるともっともっと食べさせてあげれば良かったと思う。

小さな骨壺はまだそのまま。
土に返してあげた方がいいのかなあ・・と思うけれど踏ん切りがつかない。

藤沢じいちゃんが亡くなってしてあげたこと。
おひげを剃ること。
パパにもしてあげたことがなかったのでどうすればいいのかわからなかった。看護婦さんにやり方を教えてもらった。
うまくできなかったら痛がるだろうな・・・と真剣に思っていた。

きれいにしますから少し廊下でお待ちください。

次にあったおじいちゃんは白い布をかけられていた。
突きつけられた現実。
それを必死にこばもうとママは布をとっておじいちゃんの側にいておじいちゃんの顔をじっと見ていた。

みればみるほどそり方がまばらだ。
もう一度やり直してあげたかったけれどそれは無理だった。

2ヶ月が過ぎた今、時々思い出す小さな出来事。