防波堤

2013年5月

 藤沢じいちゃんのことを忘れている時間も多くなってきた。
心の中にはいつもいるけれど、暮らしていくのにかなしんでばかりもいられない。
やるべきことは次々とやってくる。

 そんな日々の中ふっと気が抜けるとやはりおじいちゃんのことを思っている。

おじいちゃんに怒られたことは一度もない。
いつも「お母さんを怒らせるなよ。」と言われていた。

そんなにおじいちゃんはママのことが好きだったの?

おそらくそれもあっただろうけれど(!!)何があっても守ってやれるから怒らなくても自分で失敗したり、困ったりしながら進めばいいと思っていたと思う。

小さいときからおじいちゃんは大きくて、やさしくて、おしゃべりは少ないけれどいつもママ達を守っていてくれた。

それが当たり前のように大きくなって、結婚して、子供が生まれて・・・
大切なものがどんどん増えていく・・・

それを守っていくことの大変さはその時にわかった。

おじいちゃんがやってきたとおりのことをしてあげようと思っても怒ったり、方向転換させたりで自分で結論を出す前にママはしゃしゃりでてきた。

今になって思う。
大きな、大きなおじいちゃんの心。
ママ達を静かに守ってきてくれたこと。

そしてそれがいつまでも変わらないこと。