2011年4月

 テレビの特番でチャリティーの歌番組をやっていた。
節電の最中、いつもは華やかな舞台もちょっと寂しい。
急遽参加してくれる歌手を募ったようだ。
もちろんみんな参加したかったに違いない。

正直歌番組はほとんど見ない。
せいぜい紅白歌合戦くらいだ。

それを見てもちょっとうるっとくる。
この舞台にたつために随分苦労したんだろうなあ・・・とか考えるからだ。

中年のおばさんは想像力だけはたくましく、自分で悲劇にも喜劇にも、感動ドラマにもしてしまう。

だから震災後は泣いたり、怒ったり、ふっと笑顔になったりなかなか忙しい。

そんなおばさんなのでこの歌番組にはとても感動してしまった。
なぜだろう?
いつもと変わらない歌手、歌。

だけど今までずっと押さえてきたものがわーっと吹き出したみたいに涙が止まらない。
内陸で被害は少なかったけれどママ達も被災者である。

怖くて、腰が抜けて立てなくなって、ここで死んでしまうのかなあと本気で思った。
家族の安否を確認するまでは必死だった。
テレビがひっくり返って・・とか箪笥がずれて・・とかはしばらく後になって考えたことだ。

テレビに映し出される被害者と同じようにママもまた心のどこかで「がんばらねば、がんばらねば・・・」と必死で自分を支えていたのかもしれない。

そんなときテレビから知ってる歌、思い出多い歌、涙が出そうな歌が聞こえてきた。
家族のみんなには笑われてしまったけれど一つ一つが心に浸みて、今まで我慢してきたものがせききったように溢れてきて涙が止まらない。

人を助けることはお金だけじゃない。笑いも歌もお話もたくさんあることが身にしみた
。みなさんにはありがとうと言う言葉しかない。