手紙

2010年8月

 数十年ぶりに父に手紙を書いた。

メールもしない、耳も遠くて細かな話はなかなか電話では通じない。

たわいのない話は少しできる。
けれど話をするといつでも父はママの体だけを気遣ってくれる。

最近は電話にでても聞きづらいことが多いのだろう、電話にもでない。

母に電話したときに様子を聞いて安心はしているけれど時々無性に会いたくなる。
けれどなかなか会いに行けない。
時間なんてそんなにかからないのに会いに行けない。

クーラーのない家にはますます足が遠のいてお盆にすら顔を出さなかった。

フッと思い立って手紙を書いた。
これなら父もゆっくり読むことができるだろう。

もうすぐおばあちゃんの誕生日だよ。忘れないでおめでとうを言ってあげてね。

急にやってきた手紙を父はどう思っただろう。
でもうれしそうに何度も読みながら母に話してる姿が目に浮かぶ。

そうか!!!
お手紙をいっぱい書いてあげよう。

いっぱい、いっぱい書いてあげよう。