ハンバーグ

2010年3月

「あ〜大変どうしましょ。」
家政婦さんのびっくりした声が聞こえた。

その日はちょうどお休みでみんながリビングに集まっていた。

ママのリクエストで今日は無理にお願いして煮込みハンバーグを作ってもらっていた。
彼女が我が家にきて10年以上だ。
我が家のことは熟知してママが困っているときはいつも助けてもらっていた。
彼女はお料理がうまい。
カレーは絶品だと思う。
その彼女も最近結納をして忙しくなった。
ママの具合がよくなるまで週に数回夕飯を作りに来てくれる。
我が家に彼女がいなかったたら子供たちはこんなに美食家にはならなかったと思う。

さていったい何があったのかと思いきや、あのぷりんさんが足音を忍ばせてこっそりと生のハンバーグを一個たべてしまっていた。
お年を召したし、私たち家族もぷりんの行動を把握できてとられそうな場所に食べ物を置くようなこともなくなったのでしばらくこんな騒ぎはなかった。
ぷりんはよほどおいしかったとみえて足なめをしている。
さあ、困った。
心配する彼女には「平気、平気。」と言ったもののかなりの量のタマネギがはいっている。
夜中に騒ぐのもいやだしと電話で状況をきいてもらった。
たまねぎは血尿がでたりするらしい、なんでもなければいいけれどその保証はない。
だけどそれをおさえる注射があると聞いて大急ぎで連れて行った。
当のの本人は「なに?」てな顔をし、夜はいつものようにお腹をだしてあられもない姿で爆睡していた。

とりあえずは事なきを得たけれどこんなことが日常茶飯事だったのは遠い昔のような気がする。